医療的ケアとは、日常必要とされる呼吸・栄養摂取・排泄などに関わる医療的な生活援助行為のことを指します。
呼吸・栄養・排泄・その他それぞれに関係した医療的ケアと使用する医療機器やチューブ類についてご説明します。
※掲載している医療的ケアは、厚生労働省「医療的ケア及び医療的ケアスコアについて」に示されている医療的ケアのうち主なものになります。
呼吸・栄養・排泄・その他それぞれに関係した医療的ケアと使用する医療機器やチューブ類についてご説明します。
※掲載している医療的ケアは、厚生労働省「医療的ケア及び医療的ケアスコアについて」に示されている医療的ケアのうち主なものになります。
呼吸に関するもの
吸引
気道(口鼻~気管までの空気の通り道)に溜まった鼻汁や唾液、痰などを電動の吸引器に繋いだ専用の細いチューブを使用して取り除く処置です。チューブの先は電動の吸引機器につなぎ、自分で鼻をかむ・唾を飲み込む・痰を出す、などが難しいお子さんに行います。チューブは口・鼻から、もしくは気管切開を行っている場合は気管切開孔から挿入します。
気管切開
のどの気管に穴をあけ、カニューレを差し込んで呼吸がしやすくする処置です。
- 上気道(口鼻~喉まで)が狭くなっていたり塞がっているために呼吸が難しい方
- 人工呼吸器を使用する方
- 唾液の飲み込み(嚥下)が難しく気管に唾液が流れ込んでしまって(誤嚥)肺炎を繰り返す方
などに行います。空気の通り道を確保してあげることで呼吸が楽にできるようになったり、気管に溜まった痰を直接取り除きやすくなったりします。
経鼻エアウェイ
上気道(口鼻~喉まで)の通りが狭い時に、空気の通り道を確保するために挿入するやわらかいチューブのことです。
経鼻エアウェイで呼吸の状態が改善されると気管切開をしなくてよい場合もあります。
在宅人工呼吸
自力での呼吸が難しい方に在宅人工呼吸器という肺に空気を送り込む器械を使って呼吸を補助します。
- 気管に穴をあける処置(気管切開)をして行うもの(侵襲的人工換気IPPV)
- 鼻マスク、口鼻マスク、顔マスクなどを装着して行うもの(非侵襲的人工換気:NIPPV)の2種類があります。
在宅酸素療法
体に不足している酸素を外から補うものです。
心臓(慢性心不全、チアノーゼ性心疾患)や肺(慢性呼吸不全、肺高血圧)の病気で、空気中の酸素だけでは十分に体に酸素をとりこむことができない方に行います。
心臓(慢性心不全、チアノーゼ性心疾患)や肺(慢性呼吸不全、肺高血圧)の病気で、空気中の酸素だけでは十分に体に酸素をとりこむことができない方に行います。
在宅用の酸素濃縮装置や酸素ボンベを使い、そこからチューブを通して鼻から酸素を吸入します。
栄養に関するもの
経管栄養(胃ろう、経鼻経管栄養)
口から自力で食べることが難しい方に、鼻から胃まで専用のチューブを通したり(経鼻胃管)、手術をしてお腹から直接胃に穴をあけてチューブを通したり(胃ろう)し、そこからミキサー食や栄養剤を注入します。
中心静脈栄養
腸から栄養を摂ることが難しい方(短腸症候群、ヒルシュスプルング病など)に心臓に近い太い血管まで中心静脈カテーテルという管を留置して、血管から直接栄養を補給する方法です。
排泄に関するもの
導尿
専用のカテーテルを尿道から膀胱まで挿入して尿を出します。
自力で排尿することが難しい方に行います。
自力で排尿することが難しい方に行います。
人工肛門(ストーマ)
手術でお腹の皮膚に作られた新たな便の出口です。
特別な器械は使わず、腸を直接お腹の皮膚にだしており、そこに貼付した専用の袋のなかに便が溜まっていきます。
特別な器械は使わず、腸を直接お腹の皮膚にだしており、そこに貼付した専用の袋のなかに便が溜まっていきます。
定期的に専用の袋の交換が必要です。
透析
腎臓の機能が低下して尿を通して老廃物や余分な水分を体の外へ排泄することができなくなった時に、血液や腹膜から器械を通して老廃物や水分を取り除く治療のことです。
血液透析と腹膜透析の二種類があり、こどもの場合は腹膜透析をすることが多いです。
腹膜透析では、まずお腹の皮膚からカテーテルを挿入する手術を行う必要があります。カテーテルからお腹の中に透析液を入れ、腹膜を通して透析液へ老廃物や水分を移動させます。この透析液を交換することで体の外へ老廃物や余分な水分を排泄することができます。
透析液の交換を寝ている間に器械を使って自動で行うことで、昼間自由に活動することも可能です。
その他
インスリン注射
糖尿病患者さんに不足しているインスリン(というホルモン)を体の外から注射し補うものです。
注射の方法や回数などは患者さんの状態にあわせて決められます。