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先輩の生活・体験談

先輩の生活・体験談

くらしのエピソード・知恵袋

医ケア児とご家族のくらしのエピソード・知恵袋をご紹介しています。

体験談

新生児期~乳児期(NICU入院から退院まで)

NICUからおうちに帰る時の準備

新生児期~乳児期
染色体異常をもつAちゃん(5か月)
「家族みんなで一緒に過ごしたい!」その一心で退院を決めました。でもはじめは、何からどう考えたらいいのか、準備したらいいのかわかりませんでした。しかし、主治医の先生や受け持ちの看護師さん、退院支援の看護師さんが、いつも話を聴いてくれたり、退院までのスケジュールを示しながら「ゆっくりでいい。一緒に少しずつ準備するから大丈夫」と言い続けてくれました。

まず一番はこどもが安定して過ごせることですが、そこは、こども本人の力と、先生や看護師さんにお任せするしかありませんでした。私たち親の宿題は、こどもとできるだけ会って、抱っこやおむつ交換、お風呂などこどものお世話に慣れることでした。人工呼吸器を付けていたので正直怖かったですが、この子が頑張っているんだから私たちが甘えたこと言ってられない、と踏ん張りました。それから、ミルクの注入やたんの吸引など、医療的ケアを覚えていきました。最初は見学、次は実際にやってみる、といった感じで少しずつ進んでいきました。毎回看護師さんが「どうだった?難しかったところは?」など確認してくれたので、いろいろ相談しやすかったです。

身体障害者手帳や手当をもらえる制度もあるので、一つひとつ理解しながら手続きに行かねばならないのは大変でしたが、途中から相談支援専門員さんに代行してもらえるようになり、随分助かりました。福祉制度を使って、吸引器やベッドなどを準備しました。

退院支援の看護師さんと、おうちでの一日の過ごし方などを相談しながら、退院後は訪問の医師や訪問看護師さんやヘルパーさんに来てもらうことを決めました。病院と訪問の先生同士はよく連絡を取り合ってくれていたし、訪問看護師さんたちは、何度かNICUに足を運んで、一緒に練習してくれました。退院の前には、病院のスタッフの人、訪問看護師さんたちも一緒に家庭訪問をしてくれ、ベッドや物品を置く位置やどのようにお風呂に入るかなどみんなで考えて、決めていきました。また、みんなが集まって計3回会議がありました。退院する前から何度も会っていたので、お互いに慣れて、結果的に安心しておうちでの生活をスタートできました。
入院時期
生後5か月間NICUに入院
医療的ケア
人工呼吸器・気管切開・たん吸引・酸素療法・経腸栄養(経鼻胃管)
日常生活動作
寝たきり・全介助
家族構成
父親・母親・Aちゃん

訪問看護師さんを頼って切り抜けた

新生児期~乳児期
慢性肺疾患をもつBくん(4か月)
早く小さく産んでしまったので、BくんはずっとNICUに入院していて、私はほぼ毎日面会に通っていました。長かったけれど、なんとか退院が決まった時は本当にうれしかったです。その反面、退院前には訪問看護師さんに週2回来てもらうよう決めたものの、訪問の時間は限られているし、何かあったら一人で対処できるだろうか、NICUの先生や看護師さんたちがいない中で本当に大丈夫だろうかと不安な気持ちもありつつ退院しました。

緊張しながら過ごしていましたが、退院から1週間経った頃、夕方の注入前のことでした。ちょっと目を離した隙にBくんの手に栄養チューブが…抜けていました!お風呂の後だったので、水分を入れないといけないと思い、とにかくチューブの入れ直しを試みました。しかし、NICUでの練習の時はできたけど、一人で焦ってしまい、全然入りませんでした。病院に行くにも1時間かかるし、私は車に乗れないのですぐ行くことはできません。

焦る中、「困ったら連絡してね」という訪問看護師さんの言葉を思い出しました。早速電話をしたら快く来てくれました。すぐに入れ直してくれ、無事に注入ができました。定期訪問以外でも、困ったときに相談に乗ってくれたり、対応してくれる訪問看護師さんは、なくてはならない存在です。
入院時期
極低出生体重児として生まれ4か月間NICUに入院
医療的ケア
酸素療法・経腸栄養(経鼻胃管)
日常生活動作
全介助
家族構成
母親・Bくん

幼児期

家族だけでお出かけ

染色体異常をもつCちゃん(3歳・未就園)
生まれてすぐに、命が短いかもしれないと説明されていました。なんとか退院できましたが、退院後しばらくはとにかく感染を起こして体調が悪くならないことを第一に過ごしていて、Cちゃんは家にいるかお出かけも病院だけでした。

体調も落ち着いて過ごせるようになった頃、訪問看護師さんと一緒に近所の公園に出かけました。お日様を浴びて眩しそうにするこの子の姿を見て、もっといろいろ遊びに連れて行ってあげたいと思うようになりました。その後、訪問看護師さんと毎週1回外に出て遊ぶ機会を持つようにして、段々私も外出準備がスムーズにできるようになりました。

そしていざ、少し離れたお店に、家族だけで行ってみる計画を立てました。事前に、駐車場の場所や段差の有無、お店の広さ、おむつ交換の場所など下調べをしました。パパともイメトレしました。そしていよいよ外出!いざ行ってみると、困ることがなかったわけではないけれど、それでも初めて家族だけでお出かけできて、私にとっても産後初めてのショッピングで、すごく楽しかったです。

それからは、お出かけが怖くなくなりました。困ってもなんとかなることがわかったので。これからも、この子と一緒にいろんな体験をしていきたいと思っています。
医療的ケア
人工呼吸器・気管切開・たん吸引・酸素療法・経腸栄養(経鼻胃管)
日常生活動作
寝たきり・全介助・移動手段はバギー
家族構成
父親・母親・Cちゃん

ほかの子と同じように、お友達と遊びたい

幼児期
喉頭軟化症をもつDちゃん(4歳・未就園)
1、2歳までは地域の親子教室に行っていましたが、3歳になってから同じくらいの年齢の子がいなくなって、小さい子ばかりになってしまい、物足りなくなってきました。保育園か幼稚園に行かせたいけど、市の担当の人から、「気管切開をしているから入園は難しい。Y市(隣県隣市)なら受け入れてくれるところがあるかもしれない。一度連絡してみてください」って言われました。その言葉に、どうしよう、自分一人でがんばらないといけないのかって悩んで一気に疲れてしまいました。結局動けないままでした。

次の外来の時に病院のコーディネータに相談しました。すると、地域の保健師と連携して、地元の保育園に一緒にかけあってくれました。先生(医師)には、診断書も書いてもらい、園に提出しました。何度か話し合いを繰り返して、「家族が同伴するなら」という条件で入園が許可されました。

途中、一人だけで園や市と直談判していた時には、どう伝えたらわかってもらえるのかなど本当に悩んでつらかったです。けど、一緒に動いてくれる人ができて、なんとか頑張ることができました。味方を見つけて一緒に動いてもらうことをお勧めします。
医療的ケア
気管切開・たん吸引
日常生活動作
歩行可・一部介助(年齢相当)
家族構成
父親・母親・Dちゃん・父方祖母

幼児期~学童期(就学)

学校に行く準備

二分脊椎をもつEちゃん(6歳・保育園に通園中)
保育園では、私(母親)かおばあちゃんが導尿の時間に保育園に行って導尿していました。来年から1年生になるけど、私も育休が終わるし職場復帰しないといけない。この子も練習しているけど、まだ遊びが優先になったり、清潔動作ができなかったり。どうしたらいいのかと悩んで、病院の外来の看護師さんに相談したら、病院のコーディネータを紹介してくれました。コーディネータから、教育委員会の就学担当とメディカルサポート事業(学校で看護師が医療的ケアを行う)を紹介され、一緒に相談しながら準備していくことになりました。

まず、外来の先生と看護師さん、コーディネータと相談して、導尿時間を調整しました。朝は起きてから1回、学校では中休みと昼休みに2回、あとは帰宅後と寝る前に導尿して経過を見ることになりました。それから、学校に看護師さんを派遣してもらうために、病院の先生に意見書や指示書を書いてもらいました。派遣の看護師さんが決まってから、みんなで会議を持ちました。参加者は、私とEちゃん、学校の人たち(校長、教頭、担任、特別支援コーディネータ、養護教諭)、教育委員会、派遣で学校に来てくれる訪問看護ステーションの看護師、病院の人たち(主治医、外来看護師、コーディネータ)でした。すごく多くの人が集まって緊張したけど、ケアの内容を共有したり、訪問してもらう時間や方法を決めたり、学校の設備面の整備をするために必要な会議でした。学校で使うトイレの場所を決めて、物品を置く棚、念のための簡易のベッドを設置してもらうことになりました。また、事前に看護師さんが学校に出向いて、学校の先生方に説明をしてくれることになりました。

入学後、最初の方は私も同行して一緒に確認したりが必要でしたが、すぐに看護師さんだけで対応してくれるようになり、安心して復職できました。
医療的ケア
導尿(Eちゃん練習中)
日常生活動作
歩行可・一部介助(年齢相当)
家族構成
父親・母親・Eちゃん・兄9歳・妹1歳

学童期

新たな治療の選択…大きな決心でした

脳性まひをもつFちゃん(7歳・特別支援学校1年生)
誤嚥性肺炎になって入院を繰り返して、学校にもほとんどいけない状態でした。主治医から「肺がどんどん痛むし、学校にも行けていないし」ということで、喉頭気管分離を勧められました。誤嚥の心配はなくなるけど、手術はこどもに痛い思いをさせるし、声が聞こえなくなる、取り戻せなくなる…と思うと、本当に悩みました。

主治医や看護師さん、夫やお姉ちゃんとも何度も何度も話をしました。お姉ちゃんは声が聴けなくなることがつらい、寂しいと泣く日もあって、私も本当につらかったです。最終的には、家族3人そろって病院から手術をすることのメリットとデメリットもしっかり聞いた上で、Fちゃんが少しでも楽に楽しく過ごせるのが一番だよねと家族で話し合って決めました。本当に大きな決心でしたが、熱が出ることも劇的に減り、学校に行ける回数が増えました。今ではやってよかったと思います。納得が行くまで話し合うことがとても大事だと思います。
医療的ケア
気管切開・たん吸引
日常生活動作
寝たきり・全介助・移動手段はバギー
家族構成
父親・母親・Fちゃん・姉(高校生)

学童期~思春期

少しずつ自立しています

声門下狭窄症をもつGちゃん(10歳・公立小学校5年生)
こどもは地元の公立小学校に通っています。気管切開をしていて吸引が必要なので、はじめは家族が一緒に付き添って登校しなければなりませんでした。3年前にメディカルサポート事業ができたので、今は学校に看護師さんに来てもらっています。最近はこどもも自分で咳をして、ティッシュでたんを拭うこともできるようになりましたが、やはり完全には難しいので、お昼前には看護師さんに一度しっかり吸引をしてもらっています。

気がかりは来年の修学旅行です。看護師さんについて来てもらうことはできません。本人曰く、お友達の手前もあるらしく、今年は吸引を一人でもできるようになることを目標にしました。まず家では、吸引の準備と片付けから練習しています。手洗いの意味も改めてしっかり教えました。遊びが優先になりやすく、清潔・不潔がおろそかになるときもありますが、少しずつ自分のことができるようになっています。次は吸引チューブを自分ののどに入れる練習をしていきます。これは、はじめは外来で看護師さんと一緒にやってみることになっています。

時々「なんで自分だけ?」と言う時もあって、かわいそうになりますが、やっぱりたくましく育ってほしい。1年後の自立を目指して、今日も練習の日々です。
医療的ケア
気管切開、たん吸引(Gちゃん練習中)
日常生活動作
自立
家族構成
父親・母親・Gちゃん・母方祖父、祖母

青年期・成人期

親も年を取り、こどもの今後の生活をどうするかという問題に直面

脳性まひをもつHちゃん(16歳・特別支援学校2年生)
生まれた時からずっとこの子を家族で育ててきました。当時このようなこどもを預かってくれるところもなかったので、ずっと家で看ていました。

少し前に私が体調を崩して長く入院することになってしまい、しばらく夫が会社を休んで看ていましたが、それも難しくなり、緊急避難的にこの子をいつも診てもらっている病院に入院させてもらいました。本来はできないことだけど、やむなくといったところで対応してもらいました。

この時、私たちもいつどうなるかわからない、この子も来年卒業だし、この子の人生どうなるのかという問題に、本当に現実的な問題として直面したのです。その後すぐ、相談支援専門員さんに相談して、預かってくれるところを探して見学に行き、登録しました。これから定期的に預かってもらう計画になりましたが、正直今更預けることはしたくないし不安です。初めてのところでこどもも体調を崩すかもしれないですし。でも、この前みたいなことがあってからでは遅いし、私たちもいつどうなるかわらかな…それを本当に実感したので受け入れるしかないと言い聞かせています。

今はいくつか預かってくれるところも少し増えていると聞いています。できればもう少し早めから計画的にそういった施設とつながっておくことが必要なのかもしれません。慣れたところだとこどもも不安が少なくなるだろうし、いざという時、スムーズだろうなと感じています。
医療的ケア
たん吸引・経腸栄養(胃ろう)
日常生活動作
寝たきり・全介助・移動手段はバギー
家族構成
父親・母親・Hちゃん
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